(2016年8月4日に書かれたものを再掲しています)

これだけ科学技術が進んだ。
なのに,なぜわれわれの生活は楽にならないのだろうか?
なぜ「成長」しなければならないのだろうか?

その根本にあるものは何かを考えたところ,どうも「資本主義」と「貨幣経済」と
「マスコミ」あたりにあるのではないかという考えにたどりついた。

まず,「資本主義」である。
企業は「儲け」を生み出さなければならない。
その「儲け」は「貨幣経済」における,万能な「お金」である。
「物々交換経済」で「もの」をもらっても,「もの」は万能ではなく,
場合によっては腐ってなくなってしまう。
でも,「貨幣経済」であれば,「お金」さえあれば,ただの「紙」または
「金属」であるにもかかわらず,この世のかなりのものは手に入るし,
余程のことがなければ「紙くず」にはならない(と思い込まれている)。
だから,いくらでも欲しくなる。
(たとえば,すごく美味しいケーキでも,たくさん食べると食べたくなくなる
のとは対照的ですね)

そして,儲けるためには,「もの」や「サービス」をたくさん売らなければ
ならない。そうすると,「マスコミ」を使ってコマーシャル(CM)をすることに
なる。

コマーシャルというのは,どうも好きになれない。
たとえば,「バイキンだらけ」とか「あなたの口臭が」と脅されたり,
「これはうまい!」なんて,著名人が幸せそうにのたまう。
自分の好きなタレントさんがそう言えば,それを買えば自分も幸せに
なりそうな気がする。

こうやって,企業が儲けるために,われわれは必要以上に購買意欲を
掻き立てられ,そして,買わされる。
そうすると,それを作るために働く人が必要になり,それを買うために
お金を稼ぐ必要が出て,新たな需要が生まれる。

本当はそんなものいらないのかもしれない。
でも,ある意味騙されて,欲しいと思ってしまう。
「○○ノミクス」にとっては,消費が増えて,景気が良くなって
万々歳なところであろう。

そして,生きていくために本当に必要なものの対価が相対的に過少評価
され,結果的に,「農業」だけではなかなか生きていけなくなり,
農家の人口が減り,本当はそれほど必要ではないものを生産するために
われわれは働かなくてはならなくなっていると思った。
(こういうことを言っている人を私は見たことがない。
もしいたら,教えて下さい)

極端な話,食っていくだけのものを生産するだけで良いならば,
われわれは半分以下の労働時間で十分に暮らしていけるのではないだろうか?

でも,みんなの生活が向上し,昔ほどのハングリーさがなくなり,
将来への不安も相まって,企業がこれだけ宣伝しても消費が伸びない
というのが現状のような気がします。

そう考えると,「○○ノミクス」のような考え方はもう古い!
と思うわけです。

根本的に考え方を変える。

そのためには,もっと「第一次産業」の必要性に気がつき,
「地に足のついた生活をする」。
そして,「成長」しなくて「維持」すること,また,人口減少も
あるので,場合によっては「縮小」することを受け入れること。
そうすれば,「ギスギス」した感じがなくなり,人々の暮らしは
もう少し「楽」に,そして,「穏やか」に,そして,他人に「寛容」に
なれるのではないかと思います。

ホセ大統領も言っているように,「石器時代に戻る」というわけではありません。
私だって,そんな生活をしているわけではありませんし,そこに戻りたい
とは思いません。
でも,今のまま進む先を見ずに前に進んで行ってはいけないと思います。
全世界の70億を越えるという人々が全員日本人と同じ生活が送れるのでしょうか?
少し歩みを止めて,調和点を探す,それがこれからのわれわれに課せられた
大きな課題だと思います。

麻薬や覚醒剤と似たような「欲望」から解放され,この問題を解決するためには,
ホセ大統領の演説にあるかつての賢人の言葉
「貧しい人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、もっともっとと、
いくらあっても満足しない人のことだ」
そして,日本にも,「吾唯知足」とか「小欲知足」という言葉があります。

そういう気持ちになれることが,「幸せ」になるための鍵だと思います。
つまり,「経済成長」しなくても「持続的に」日々生活できることに感謝をし,
ありがたいと感じることで「幸せ」になることができるかに掛かっていると思います。
これは,ある意味,それを「幸せ」と感じられるかどうかという気持ちの問題であり,
われわれも,麻薬患者と同様に,「欲望の中毒」から抜け出し,
「幸せ」になるための教育という「更生プログラム」によって何とか
そのコントロールすることができると思いたいです。